事務所の建て替えに伴い、仮事務所へ引越。
40年間のいろいろなものも思い切って処分。小さい会社。それでも、段ボール箱は約200箱。
ダンススタジオとして使われていた1階は壁全面が鏡張り。昭和感あふれる事務所だけど、窓が多く風通しが良いので今のところ快適です。
以前から「アルベルゴ・ディフーゾ」について興味を持っている。イタリアで「散在する宿」のこと。宿泊や食事がホテルで完結するのではなく、街で部屋のカギを受け取り、食事もまちなかのレストランでとるようなスタイル。
東京では、谷中の街をホテルに見立てた、HAGISOのhanareに宿泊した。
HAGISOの2階が宿=hanareのレセプションになっており、こちらで鍵を受け取る。宿泊は、2分ほど歩いたところにあるhanare。朝食はHAGI cafeで。hanareにも共用のシャワーはあるが、チケットで近くの銭湯に行くこともできる。
なんだか懐かしい街並みが残る谷中の「街に泊まる」宿泊体験が楽しかった。谷中っていうのもいい。松山でもこんなのができるといいな。
4月。Mさんにお声掛けいただき、第0回 ローカルアーキテクトミーティングへ。愛媛県内の若手の設計者で意見を交換する会である。
場所は、この日がオープンだというAkira Yamaguchi Studio。
三津の商店街にあるのだが、山口さんはこの場を作る過程で三津の人たちとも顔なじみになり、地域にすっかり馴染んでいるようだった。
午前中は、私のガイドで三津の建築や面白い場所を案内。自分の仕事を含め、古建築を利用した飲食店や物販店の新規開業が増えていることにあらためて気付かされる。
午後は6人で建築設計事務所の仕事について――例えば同業他社の連携や、設計以外の仕事への関与など、いろいろと話し合った。
話しながらあらためて思ったのは、私は建築や場づくりといった自身の仕事を通じて、人や街にポジティブな変化が起こることに寄与したいということ。そのための研鑽や議論は惜しまないでいこう。
前回までの記事はこちら。
スペイン旅行記④ ガウディ建築巡礼とカタルーニャ音楽堂 -バルセロナ(2)
スペイン旅行記⑤ ミシュラン3つ星「ABaC」でランチ -バルセロナ(3)
スペイン旅行記⑦ ビルバオ・グッゲンハイム美術館とビルバオの街 -バスク(2)
バスクは雨が多いそうだ。グラナダやバルセロナの快晴とはうって変わって、サン・セバスティアンもビルバオもぐずついた空模様だった。
それでも、ビルバオは印象に残る街になった。私は、訪れた街に対して「住める」かどうかを評価するようなところがある。評価というと語弊があるし、それだけが軸であるわけではないが、滞在していると時にふと「住んでみたい」と思わせる街があり、ビルバオはそのひとつだった(これは妻とも意見が一致した)。
それがどのあたりに起因するかといえば、まず、都市的であって、街の規模がちょうどよいところだろうか(東京やニューヨークは巨大すぎる)。そして、観光地化しすぎておらず適度に生活感があるところも良い。至る所に広場や公園があることや、旧市街など歴史を感じさせるところもポイントだ。さらに、美術館などの新たなものが古いものとぶつかりながらも調和しているところも挙げられるだろう。
そういう街の「地」がある上で、ビルバオは買い物やバルめぐりが楽しかった。バルの客層も観光客だけではなく地元の利用も多いように見受けられ、その日常に根差した雰囲気も良かった。
ビルバオで訪れたバルやお店を記録して紹介したい。
ラビーニャデルエンサンチェ。中心市街地にある有名店。ホセリートの生ハムを使用。美味。
エル・グロボ。ラ ビーニャの近くにありこちらも人気。
スパイス、コーヒー豆、ハーブティーなど全て計り売りで買うことができるお店。ついいろいろ買ってしまった。
夜は旧市街に向かい、バル巡りを楽しんだ。地下鉄を降りるとヌエバ広場はすぐそこ。
ヌエバ広場を建物と廻廊が取り囲み、廻廊にバルが並ぶ。雨を気にせず楽しむことができる。
グレトキ。人気店の模様。インテリアの感じも良かった。焼き鳥風のピンチョスも。
ラ オッラ。ここも人気店のようでおいしかった。
ワインバル、ザハラ。
カフェビルバオ。老舗店の模様。
ピンチョスをいろいろつまみながら飲む。ハシゴして、それぞれのお店の味や個性を楽しむ。どの店もおいしくて、活気にあふれていた。
スペイン最後の夜も楽しいひと時を過ごすことができた。
前回までの記事はこちら。
スペイン旅行記④ ガウディ建築巡礼とカタルーニャ音楽堂 -バルセロナ(2)
スペイン旅行記⑤ ミシュラン3つ星「ABaC」でランチ -バルセロナ(3)
スペイン7日目。10:30にサン・セバスティアンのターミナルを出発したバスは緩やかな山の中を進む。途中、一つの町で人を拾った後、正午前にビルバオに到着。停車場の近くにはサッカースタジアムがある。
ビルバオは比較的大きい街だ。得ていた情報では35万人というが、トラムや地下鉄もあり、規模感でいうと日本の100万都市のような印象。*1
ここを訪れたのはほかでもなくビルバオ・グッゲンハイム美術館(1997)を訪れるためだ。フランク・O・ゲーリーの代表作であり、20世紀最後の世界的な傑作だろうと思っていた。
ビルバオは美術館が都市再生のシンボルになっているところも興味深い。美術館の生まれた背景には、スペイン屈指の工業都市として栄えていたにもかかわらず、衰退しスラム化していたことが挙げられる。
そのビルバオが工業からサービス業への転換を図った際、バスク州政府が実施した「15億USドル」という再開発プロジェクトは、グッゲンハイム美術館の建設以外にも、新空港の建設や港湾の拡張、地下鉄などのインフラ整備など多岐にわたっている。
その際に、建築家やデザイナーを適切に起用しているところも特筆すべきだろう。地下鉄の設計をノーマン・フォスターに委嘱したほか(地下鉄駅に氏のサインがあった)、地区の再開発に磯崎新、歩道橋の建設にサンティアゴ・カラトラバを招致するなど、建築家やデザイナーの手腕が近代的な都市景観に寄与している。
グッゲンハイム美術館はビルバオの街の中でも景観上の特異点になっているが、違和感をおぼえることはなかった。パピーやママンなどのアートが迎えてくれる。
内部もまたぐにゃぐにゃではあるものの、アトリウム状のホールを中心に、そこから展示室が放射状に延びるという明快な構成で、想像していたものよりおとなしい印象。
展示は、リチャード・セラ、建築、映像、ジャコメッティ、ピカソ、モネ、ゴッホ、ウォーホルなど。先入観として、この建築ではなんとなく展示がし辛いのではないかと思っていたけれど、特にリチャード・セラの巨大なサイト・スペシフィックな作品がごろんと転がっている感じなども良く、印象が覆されたような感じだった。
スペイン旅行記⑧に続く。
*1:後で調べると都市圏としては約100万人ほどのようだ。
仕事でお手伝いをしたソーラーシェアリング施設の完成披露式へ。
メガソーラーも様々なところで目にするようになった。メガソーラーには、広い土地にずらりと並べられた様子からも新たな景観問題となっている側面があると認識しており、さらには住民とのトラブルなども見聞きしていたので、初めにこの話を聞いた時には、慎重に進める必要があると思っていた。
しかしこのソーラーシェアリング施設は、太陽光発電のパネルの屋根の下でシキミを育てる「営農型」の発電施設として整備されたもので、農作物が育てられるよう太陽光パネルも高く持ち上げ、日光が届くようにパネルは適宜抜かれている。事業者も、地域とともに運営を行う形を模索し続けているようだ。このソーラーシェアリングも農地法の枠組みをうまく利用した形ともいえるかもしれない。
完成して訪れると、地域の方々が集えるような場所も設えるなどの配慮もあって、地域住民の方々からも喜びの声を聞くことができた。
放牧地といえば聞こえはよいが荒れ果てた山を見ていたので、その山がこのように整備された様子を見ると、関係者の誰もがポジティブな印象を抱いたように思う。実際、昨年の豪雨災害でこの山も崩れ道が寸断されてしまったが、それを元に戻すだけでも意義はある。
このような施設は実際に稼働してからが大事であることはいうまでもないが、その様子を陰ながら見守っていたいと思う。