2023年の仕事納め。具体的なプロジェクトから、この一年を振り返ってみたい。
1.瀬戸内・興居島にてCLTによるジオデシックドーム"TATARUGA"が竣工
夏の前には瀬戸内・興居島に、二等辺三角形のCLTパネルで構成したジオデシックドームによる研修施設「TARTARUGA(OHTANI職業訓練・キャリアアップセンター)」が竣工した。
企業の研修や保養に利用される建築物で、クライアント企業のアイコンとなるべく検討を重ねたもの。CLTを用いたジオデシックドームという構造・施工上も複雑な建築を、興居島という地域性を考慮しながら計画するという、個人としても会社としてもチャレンジングな内容だった。
この建築はウッドデザイン賞2023、木材利用優良施設等コンクール優秀賞という木材に関する2つのアワードを受賞したが、応募や審査の過程で、脱炭素化やCO2排出量削減ということが国の施策上も重要視されていることが理解できたし、木材のつくる空間の魅力にもあらためて気付かされた。CLTはすべて県産材(西条産)で、集成材以外の材はほぼ全て県産材を用いている。CLTの工場も愛媛にあるのだが、この大規模な工場を有する愛媛の強みというのはもっと知られてよいと思う。
2.三津浜のリノベーション ーiroiro三津浜・三津ミーツ
三津浜では、リノベーション設計を行ったコリビングスペース「iroiro三津浜」、宿泊施設「三津ミーツ」がオープン。iroiro三津浜は昭和初期に建てられた塩専売のための蔵を、昔の雰囲気そのままに手を加え、三津ミーツは元肉屋をゲストハウスに用途変更し改修。
三津浜では毎年何らかのプロジェクトに携わっており、リノベーションした建築はこれで6件となった。それぞれ街の表情になっているように思うのだが、建築物単体だけではなく、仕組みやシステムとして、「街」として面的に取り組むべき課題も多々あるように思われる。このあたりは一個人、一企業だけでできることではないので、協働などを含め模索したいところ。
店舗等については下記よりご覧ください
・麦宿伝
3.道後アート2023「クラフトフェア」
『道後アート2023』のプログラムのひとつとして10/28-29に行われた「クラフトフェア」。様々な地域のクラフトやおいしいものが軒を連ねる中、ベンチやインフォメーションブースなどストリートファーニチャーのデザイン・制作のお手伝いをさせていただいた。
思い出すと、2019年から携わった「ひみつジャナイ基地」プロジェクトは、上人坂への回遊性を高めることが街としての課題のひとつだったが、コロナ禍となり企画・検討されていたイベントはことごとく中止に。そのときにできなかったこと・考えていたことがやっと実現したんだなと感慨深いものがあった。
ひみつジャナイ基地も会場のひとつとして利用されたが、Artekが入居し、Marc Coffee Roasters™️のコーヒーが飲めるカフェとなっていた。週末など集客の見込めるときだけでも、このような飲食を伴う利用ができるとよいのだが。
2024年には道後温泉本館の営業再開もあり、道後にあらためて動きがありそうだ。
4.2024年のこと
2023年は上記以外にも、公共・民間問わず様々な仕事をさせていただいたが、2024年は、愛媛県内で始まっている複数のプロジェクトを継続的に進めていく予定だ。この数年、自社だけではなく外部との協働によって進めていくプロジェクトが増えてきたが、一方で、人材不足で受注を見送ったプロジェクトもあった。自社では残業をほぼゼロにするなど多様な働き方ができる「地」固めを行ってきたが、新たな人が加われるよう採用を進めていきたい。外部とは新たなパートナーシップを含め、協働の機会を模索していければと思う。新たな出会いや、再会の機会も増やしていきたい。