広島の変容(1)新しい宮島口フェリーターミナルと観光まちづくり

観光としては8年ぶり?久しぶりに広島(市)を訪れた。宮島は20代の頃に訪れて以来。
2022年に厳島神社の大鳥居の改修工事が終わり、2023年にG7サミットが広島で開催されてから、インバウンドの爆発的な増加について聞いていたが、久しぶりに訪れると様々な都市空間の変化を感じることができた。

広島市中心市街地で公共交通や広場を軸・核にしながら複数の大型開発が進められ、急速かつ大胆に都市の集約化を図っているように見受けられた(後述)。

ここでは広島市に近接する観光地・宮島について触れたい。厳島(宮島)への本州側の玄関口となる「宮島口」では、宮島行きフェリーの発着所となる宮島口旅客ターミナルが2020年に供用開始され、2022年には広電宮島口駅もフェリーターミナル近くに移転。ほかにも駐車場が整備されるなど、交通機能(施設)の更新・強化に併せて、賑わいの空間が整備されている。

宮島口旅客ターミナル(設計:乾久美子建築設計事務所、2020年)

広電宮島口駅(設計:日建設計、2022年)

「観光の拠点」×「交通結節点」としての整備は、インバウンドが増加する中で、観光客にも地元住民にとっても双方に利益のある「観光まちづくり」としての一つのあり方を示しているように捉えられた。
もっとも、宮島口フェリーターミナルは頻繁にフェリーが発着する場であることから従前から「通過型」の施設であり「滞在型」への転換はなかなか難しいように思う。私自身も「通過」しただけだったのだが、拠点としてどう育つののだろうか。そのためにはターミナル単体だけではない、エリアとしての施策・プログラムも重要になるように思うが、広電宮島口駅が開放的なデザインになっているように、広場や歩行者空間といった外部空間を重視していることから、地域のイベントなども検討していることだろう。

可動式の日覆いテントのある風景

また、宮島では昨年から宮島訪問税の徴収を始めており、船舶での入島の際に100円が上乗せされていた。このような観光に関する税制は各地の自治体で動きが広がりつつあるようだが、オーバーツーリズムの問題がより顕在化する前に、観光案内・トイレの整備や環境保全などの財源として活用されるなら賛成だ。道後温泉など各地で議論がなされていいのではないだろうか。

参考

www.city.hatsukaichi.hiroshima.jp



広島の変容(2)に続く。