第0回 ローカルアーキテクトミーティング

4月。Mさんにお声掛けいただき、第0回 ローカルアーキテクトミーティングへ。愛媛県内の若手の設計者で意見を交換する会である。

場所は、この日がオープンだというAkira Yamaguchi Studio。

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三津の商店街にあるのだが、山口さんはこの場を作る過程で三津の人たちとも顔なじみになり、地域にすっかり馴染んでいるようだった。

 

午前中は、私のガイドで三津の建築や面白い場所を案内。自分の仕事を含め、古建築を利用した飲食店や物販店の新規開業が増えていることにあらためて気付かされる。

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4者が出店する「みつのほ」(4/26開業)がプレオープンしていた

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改修工事中の現場も見せていただいた


午後は6人で建築設計事務所の仕事について――例えば同業他社の連携や、設計以外の仕事への関与など、いろいろと話し合った。
話しながらあらためて思ったのは、私は建築や場づくりといった自身の仕事を通じて、人や街にポジティブな変化が起こることに寄与したいということ。そのための研鑽や議論は惜しまないでいこう。

スペイン旅行記⑧ ビルバオのバルめぐり -バスク(3)

前回までの記事はこちら。

スペイン旅行記① 準備編

スペイン旅行記② アルハンブラ宮殿 -グラナダ

スペイン旅行記③ 飛ばない、飛行機 -バルセロナ(1)

スペイン旅行記④ ガウディ建築巡礼とカタルーニャ音楽堂 -バルセロナ(2)

スペイン旅行記⑤ ミシュラン3つ星「ABaC」でランチ -バルセロナ(3)

スペイン旅行記⑥ サン・セバスティアン -バスク(1)

スペイン旅行記⑦ ビルバオ・グッゲンハイム美術館とビルバオの街 -バスク(2)

 

バスクは雨が多いそうだ。グラナダバルセロナの快晴とはうって変わって、サン・セバスティアンビルバオもぐずついた空模様だった。

 

それでも、ビルバオは印象に残る街になった。私は、訪れた街に対して「住める」かどうかを評価するようなところがある。評価というと語弊があるし、それだけが軸であるわけではないが、滞在していると時にふと「住んでみたい」と思わせる街があり、ビルバオはそのひとつだった(これは妻とも意見が一致した)。

 

それがどのあたりに起因するかといえば、まず、都市的であって、街の規模がちょうどよいところだろうか(東京やニューヨークは巨大すぎる)。そして、観光地化しすぎておらず適度に生活感があるところも良い。至る所に広場や公園があることや、旧市街など歴史を感じさせるところもポイントだ。さらに、美術館などの新たなものが古いものとぶつかりながらも調和しているところも挙げられるだろう。

 

そういう街の「地」がある上で、ビルバオは買い物やバルめぐりが楽しかった。バルの客層も観光客だけではなく地元の利用も多いように見受けられ、その日常に根差した雰囲気も良かった。

ビルバオで訪れたバルやお店を記録して紹介したい。

 

ビルバオ 中心市街地

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La Viña del Ensanche(ラ ビーニャ デル エンサンチェ)

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La Viña del Ensanche(ラ ビーニャ デル エンサンチェ)

ラビーニャデルエンサンチェ。中心市街地にある有名店。ホセリートの生ハムを使用。美味。

 

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El Globo (エル グロボ)

エル・グロボ。ラ ビーニャの近くにありこちらも人気。

 

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グラネル ビルバオ

スパイス、コーヒー豆、ハーブティーなど全て計り売りで買うことができるお店。ついいろいろ買ってしまった。

 

エバ広場のバル

夜は旧市街に向かい、バル巡りを楽しんだ。地下鉄を降りるとヌエバ広場はすぐそこ。

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エバ広場を建物と廻廊が取り囲み、廻廊にバルが並ぶ。雨を気にせず楽しむことができる。

 

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Gure Toki (グレトキ)

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Gure Toki(グレトキ)

グレトキ。人気店の模様。インテリアの感じも良かった。焼き鳥風のピンチョスも。

 

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La olla (ラ オッラ)

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La olla (ラ オッラ)

ラ オッラ。ここも人気店のようでおいしかった。

 

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Zaharra (ザハラ)

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Zaharra (ザハラ)

ワインバル、ザハラ。

 

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Cafe Bilbao (カフェ ビルバオ)

カフェビルバオ。老舗店の模様。

 

ピンチョスをいろいろつまみながら飲む。ハシゴして、それぞれのお店の味や個性を楽しむ。どの店もおいしくて、活気にあふれていた。

スペイン最後の夜も楽しいひと時を過ごすことができた。

 

スペイン旅行記⑦ ビルバオ・グッゲンハイム美術館とビルバオの街 -バスク(2)

前回までの記事はこちら。

スペイン旅行記① 準備編

スペイン旅行記② アルハンブラ宮殿 -グラナダ

スペイン旅行記③ 飛ばない、飛行機 -バルセロナ(1)

スペイン旅行記④ ガウディ建築巡礼とカタルーニャ音楽堂 -バルセロナ(2)

スペイン旅行記⑤ ミシュラン3つ星「ABaC」でランチ -バルセロナ(3)

スペイン旅行記⑥ サン・セバスティアン -バスク(1)

 

スペイン7日目。10:30にサン・セバスティアンのターミナルを出発したバスは緩やかな山の中を進む。途中、一つの町で人を拾った後、正午前にビルバオに到着。停車場の近くにはサッカースタジアムがある。

 

ビルバオ

ビルバオは比較的大きい街だ。得ていた情報では35万人というが、トラムや地下鉄もあり、規模感でいうと日本の100万都市のような印象。*1

ここを訪れたのはほかでもなくビルバオグッゲンハイム美術館(1997)を訪れるためだ。フランク・O・ゲーリーの代表作であり、20世紀最後の世界的な傑作だろうと思っていた。

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ビルバオグッゲンハイム美術館

ビルバオは美術館が都市再生のシンボルになっているところも興味深い。美術館の生まれた背景には、スペイン屈指の工業都市として栄えていたにもかかわらず、衰退しスラム化していたことが挙げられる。

そのビルバオが工業からサービス業への転換を図った際、バスク州政府が実施した「15億USドル」という再開発プロジェクトは、グッゲンハイム美術館の建設以外にも、新空港の建設や港湾の拡張、地下鉄などのインフラ整備など多岐にわたっている。

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地下鉄の入り口

その際に、建築家やデザイナーを適切に起用しているところも特筆すべきだろう。地下鉄の設計をノーマン・フォスターに委嘱したほか(地下鉄駅に氏のサインがあった)、地区の再開発に磯崎新、歩道橋の建設にサンティアゴ・カラトラバを招致するなど、建築家やデザイナーの手腕が近代的な都市景観に寄与している。

 

ビルバオグッゲンハイム美術館


グッゲンハイム美術館ビルバオの街の中でも景観上の特異点になっているが、違和感をおぼえることはなかった。パピーやママンなどのアートが迎えてくれる。

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ジェフ・クーンズ パピー(Puppy)

内部もまたぐにゃぐにゃではあるものの、アトリウム状のホールを中心に、そこから展示室が放射状に延びるという明快な構成で、想像していたものよりおとなしい印象。

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グッゲンハイム美術館 ホール

展示は、リチャード・セラ、建築、映像、ジャコメッティピカソ、モネ、ゴッホ、ウォーホルなど。先入観として、この建築ではなんとなく展示がし辛いのではないかと思っていたけれど、特にリチャード・セラの巨大なサイト・スペシフィックな作品がごろんと転がっている感じなども良く、印象が覆されたような感じだった。

 

スペイン旅行記⑧に続く。

*1:後で調べると都市圏としては約100万人ほどのようだ。

営農型ソーラーシェアリング施設 完成披露式

仕事でお手伝いをしたソーラーシェアリング施設の完成披露式へ。

メガソーラーも様々なところで目にするようになった。メガソーラーには、広い土地にずらりと並べられた様子からも新たな景観問題となっている側面があると認識しており、さらには住民とのトラブルなども見聞きしていたので、初めにこの話を聞いた時には、慎重に進める必要があると思っていた。

しかしこのソーラーシェアリング施設は、太陽光発電のパネルの屋根の下でシキミを育てる「営農型」の発電施設として整備されたもので、農作物が育てられるよう太陽光パネルも高く持ち上げ、日光が届くようにパネルは適宜抜かれている。事業者も、地域とともに運営を行う形を模索し続けているようだ。このソーラーシェアリングも農地法の枠組みをうまく利用した形ともいえるかもしれない。

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完成して訪れると、地域の方々が集えるような場所も設えるなどの配慮もあって、地域住民の方々からも喜びの声を聞くことができた。

放牧地といえば聞こえはよいが荒れ果てた山を見ていたので、その山がこのように整備された様子を見ると、関係者の誰もがポジティブな印象を抱いたように思う。実際、昨年の豪雨災害でこの山も崩れ道が寸断されてしまったが、それを元に戻すだけでも意義はある。

このような施設は実際に稼働してからが大事であることはいうまでもないが、その様子を陰ながら見守っていたいと思う。

スペイン旅行記⑥ サン・セバスティアン -バスク(1)

前回までの記事はこちら。

スペイン旅行記① 準備編

スペイン旅行記② アルハンブラ宮殿 -グラナダ

スペイン旅行記③ 飛ばない、飛行機 -バルセロナ(1)

スペイン旅行記④ ガウディ建築巡礼とカタルーニャ音楽堂 -バルセロナ(2)

スペイン旅行記⑤ ミシュラン3つ星「ABaC」でランチ -バルセロナ(3)

 

スペイン六日目・七日目はバスクで過ごすことにしていた。目的はサン・セバスティアンをはじめとする食、そして、ビルバオのグッゲンハイム。

 

バルセロナ・サンツ駅を7:30に出発。電車は緩やかな丘を進んでゆく。アンダルシア(グラナダマドリッド)で目にした車窓の景色とは明らかに異なり、ヒツジの放牧なども見られる。13:00にサン・セバスティアン着。

 

ホテルにチェックインし、旧市街へ。閑散期のためか、けっこう閑散としていた。それでも3軒をはしごする。

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Lasala Plaza Hotel(ラサラプラザホテル)はコンパクトな規模でスタイリッシュ。また泊まりたい

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ディナーは、旧市街のKokotxa (ココチャ)へ。バルセロナのABaCと比べるとエンターテインメント要素は少ないが、とても美味しかった。

 

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個人的な一番は鱈のグリルにピルピルというポテトソースをかけたもの。バスクの伝統的な料理(をアレンジしたもの)だそうだが、鱈のゼラチンが独特の食感を生み出している。

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Grilled cod Kokotxa

サービスの感じもよく、勧めてくれたワインもおいしかった。

 

スペイン旅行記⑦に続く。

スペイン旅行⑤ ミシュラン3つ星「ABaC」でランチ -バルセロナ(3)

前回までの記事はこちら。

スペイン旅行記① 準備編

スペイン旅行記② アルハンブラ宮殿 -グラナダ

スペイン旅行記③ 飛ばない、飛行機 -バルセロナ(1)

スペイン旅行記④ ガウディ建築巡礼とカタルーニャ音楽堂 -バルセロナ(2)

 

スペイン五日目。朝はゆっくり起床し、ホテルのベランダで朝食。建物は皆中庭に向けベランダを設けていて、ゆったりした作り。

午前中は地下鉄でモンジュイックへ。ミースの「バルセロナパビリオン」巡礼である。

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1929年のバルセロナ万国博覧会のドイツ館として建設

この近くで個人的におもしろかったのが、近くにあったラスアナレスショッピングセンター。闘牛場からショッピングセンターへのリノベーション/コンバージョンだという。外観は残しながら、内部は一新。このような方法もありなのでは。

(追記)後で知ったのだが、設計はリチャード・ロジャースによるそうだ。2011年。

 

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ロスアナレスショッピングセンター

 

スペイン旅行はざっくりいえば「建築」と「食」をテーマにまわったのだが、スペインでの食事はどれも印象的でよい思い出になった。

バルセロナで訪れたのが、ミシュラン三ッ星のレストラン「ABaC」。一言でいうならば「おいしくて楽しい体験」だった。

 スペインでは一般的にディナーよりもランチに重きを置き、そしてスタートは14時頃と遅い。

この日も予約は一番早い時間の13:30から。訪れると早速、厨房のツアーがスタートした。

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左のイケメンがこのレストランの若手カリスマシェフ、ジョルディ・クルス

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一皿目のアペリティフは、大きなサボテンの針に刺された状態で登場した。シャンパンを片手に厨房を巡りながら、それぞれの場所で目の前で調理されたものがちょこちょこと提供される。そんなメニューが5、6品続いた。

 

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そうして通されたテーブルはとてもゆったりとした配席。ゆっくりと、しかし間を空けないいい感じのペースで一口サイズの料理が次々と提供される。

 

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途中にはわさびを付けての照り焼きバーガーや海苔にマグロを乗せた寿司風のものなども登場。驚きがあって、楽しくて、おいしい。エンターテインメント。

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この蝋燭もただの明かりとしてではなく、実はイベリコの脂でできたもので、溶けた「蝋」をパンのバターのようにつけて味わうもの。

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気がつくともう17時前。三時間、長!22品!多!でもとてもゆったりできて、とてもいい経験になったのでした。

 

スペイン旅行記⑥ に続く。

今治「3.11以降の私(たち)」とイマバリカラーショー2019

3月。今治を訪れた。

 

「3.11以降の私(たち)」

今治ホホホ座にて、「3.11以降の私(たち)」観劇。

入場料を支払う代わりにそれぞれが野菜を持ち寄って入場するというスタイル。

今治ホホホ座の中に設営されたテントを舞台に、250km圏内による『地震の話』と『暴想』を上演。その後、3グループに分かれ、演劇の感想をシェアし、震災のことなどを話し合う。みんなが持ち寄った野菜は炊き出しとしてみんなに振る舞われた。

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250km圏内の黒田真史さん。みんなが持ち寄った野菜

炊き出しを食べながら、震災後に仕事で東北を訪れていた青砥穂高さんの話を聞いた。

 

あの地震が起こった時、私は仙台にいた。そして松山に戻ってから少しずつ、東北で起こり、体験してきたいろいろなことを忘れてきているように思う。
毎年3月になるとその時のことを思い出すが、演劇というある種の詩的な表現を目の当たりにし、さらにそこで出会った知らない人と震災について話してみることは貴重な機会になった。
震災の直接的な被害を受けていない愛媛でも、その人の意識や生き方に変化を与え、ある意味では被害者といえる人たちがいる。また、東北ではなく、離れた愛媛だからこそ話せることもある。

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IMABARI Color Show 2019

今治ホホホ座を後にして今治市公会堂へ。今治タオルの品質を支える染色技術を展示した「イマバリカラーショー2019」を訪れる。
公会堂の1006席(うち母子鑑賞室4席)の客席を利用した、1000色の布を用いたインスタレーションを見学。デザインはエマニュエル・ムホー。

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ステージから客席を見るという逆転したスタイルがおもしろい。公会堂が1000席であることからの着想だろうか。

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今治市公会堂にはたまたまホホホ座で一緒になった友人たちと訪れたのだが、彼によると、今治タオルの染色技術には高いものがあるが、ブランディングの過程でそぎ落とされたという。確かに品質を訴求する上で「白」は強いよなあ、とは思うものの、インスタレーションにより色の美しさ、そして丹下建築の良さを再認識する機会となった。